府中内燃機関研究所

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<<   作成日時 : 2011/10/24 22:06   >>

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はじめに
 当社FI(電子制御燃料噴射システム)に興味をお持ちいただきありがとうございます。すでに当社FIを購入されている方は日ごろのご活用に感謝いたします。また、購入されていない方も、当ブログをご覧になってFIの魅力を感じていただき、当社FIの購入をご検討いただけますと幸いです。
 FIはエンジンの運転状態ごとに最適な燃料噴射をセッティングすることができ、エンジンの本来の性能を引き出すことが可能です。キャブレータで起きる、パワーの落ち込みや、回転上昇のつながりの悪さなどを解消することができる等、多くのメリットが期待できます。しかし、そのセッティングの自由度が高さから、どのようにセッティングを始めれば良いのか、何を目標にセッティングすれば良いのか等、戸惑っている方も多いのではないでしょうか。
 当ブログでは、FIに関する悩みを解消し、より多くの方にセッティングを楽しんでいただくために、FIのセッティングに関する情報を随時公開して参ります。
 今回は、セッティングに関する理論、シャシーローラやログ記録ソフトを使用したセッティング方法、燃料ポンプのセッティング方法を紹介いたします。


1.理論
 以下の図のカーブはフィッシュフックカーブと呼ばれ、空燃比と出力、燃費の関係を示しています。縦軸の燃料消費率とは、1時間エンジンを運転して1馬力あたりにどれだけの重量の燃料が使用されるかを示します。横軸の平均有効圧力とは、エンジンのピストンにかかる平均圧力を排気量で除したもので、1サイクル(4サイクルであれば、エンジン2回転の間に吸気、圧縮、燃焼、排気が行われます)当たりのトルクを示します。平均有効圧力が高ければ出力が高く、燃料消費率が低ければ燃費が良いといえます。緑のグラフに書き込まれた値は理論空燃比14.7を1とした値で、空気過剰率とよばれ、A/F計ではλで表示されます。 
 平均有効圧力が最高となるA/Fは12〜13(λ=0.81〜0.88)です。しかしこの範囲では濃くしていってもトルク変化は少なく、プラグが燻ってしまう可能性があります。よってパワーベストは、燃焼温度を上げてプラグの自浄作用を利用できる薄めの空燃比13(λ=0.88)付近にセッティングします。
 空燃比を薄くしていくとA/Fが17(λ=1.15)程度までは燃料消費率は少しずつ下がっていきますが、平均有効圧力は急激に低くなり回転が安定しなくなります。さらに薄くしても、燃料消費率は上がってしまい、平均有効圧力はさらに低くなり、エンジンの回転がより不安定になります。燃費ベストは燃料消費率が最小となるA/F17から安全を見て16(λ=1.09)付近にセッティングします。

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 点火進角と平均有効圧力の関係は以下の図のようになります。プラグの火花によって燃焼が始まってから燃焼室の圧力が最大に達するまでには時間差があるので、一般的に点火時期は上死点前に設定されています。点火時期を早くすることは進角と呼ばれ、進角するにつれて平均有効圧力は上昇し、ある進角でピークとなります。平均有効圧力が最大となる点火進角はMBT(Minimum Advance for Best Torque)と呼ばれます。そこから更に進角すると平均有効圧はしばらく一定の値を保つ場合もありますが、やがて下がっていき、進角しすぎるとノッキングが発生してしまいます。ノッキングは、点火プラグ以外の部分から燃焼が始まることによる衝撃波によってチリチリ、キンキンという音が発生する現象です。ノッキングによりエンジンが壊れることもあるため、ノッキングが起きないよう点火時期をセッティングする必要があります。点火進角のセッティングの際には、ノッキングを避けながら、MBTを狙います。

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2.使用する機材
 FI搭載バイク(HONDAモンキー)
 FIセッティングソフト(Setting Work Bench 以下SWB)
 ログ記録ソフト(Fi LogReader 以下ログリーダー)
 SWB、ログリーダーがインストールされたPC
 加速度型シャシーダイナモ
 A/F計


3.FIの具体的なセッティング方法
3.1はじめに
 まず、始動、アイドリング、空吹かし(ニュートラル)での定常状態をセッティングします。詳細は取扱説明書pp61「セッティング作業の開始にあたって」をご覧ください。
 セッティングはSWBのデータモニタを見ながら行うと、エンジンやFIの状態が確認しやすくなります。データモニタの使用方法は取扱説明書pp67「データモニタの使い方」をご覧下さい。また、セッティングを変更する場合の噴射時間を概算するには以下の式を使用します。

(変更後の噴射時間)=(モニタに表示されたA/F)/(設定したいA/F)×(マップ上の噴射時間)

ダイヤルコントローラにてマップを定数倍してセッティングを行った場合は以下の式で噴射時間を概算してください。

(変更後の噴射時間)=(ダイヤルコントローラの値)×(マップ上の噴射時間)

3.2シャシーダイナモ上でセッティングする方法
 シャシーダイナモ上で加速し、A/Fを確認しながらセッティングを行います。

1)車両をシャシーダイナモに乗せます。前輪をシャシーダイナモにタイダウンで縛り、加減速しても車体が動かないようにしっかりと固定してください。

2)PCを起動し、SWBを開きます。

3)PCをECUに接続します。

4)イグニッションをオンにします。

5)SWBの受信ボタンを押し、マップを受信します。

6)マップ受信後、SWBウインドウ上のモニタボタンがアクティブになりますので、クリックしてデータモニタを開きます。

7)エンジンを始動し、暖機します。燃圧が指定の値(標準の場合0.24MPa)に保たれているか確認してください。

8)暖機が終了したら走行を開始し、加速の具合を確認しながら、回転数の上昇が早すぎないギアを選びます(モンキーの場合は4速が適しています)。この時点で息つき、もたつきがある場合はマップを修正します。

9)ギアが決まったら、なるべく低いエンジン回転数まで減速します。加速前にデータモニタ上のグラフの表示をリセットすると、グラフが見やすくなります。

10)スロットルをセッティングしたい開度まですばやく開けます。スロットルのグリップに開度ごとに印をつけておくと、スロットルを開く際に確認がしやすくなります。

11)スロットル開度を一定にしたままセッティングをしたい回転数まで加速します。加速中はスロットル開度が変化しないよう注意し、データモニタのグラフにプロットされていく○が水平な直線を描くようにします。A/Fが合わず加速が出来なかった場合は、加速が出来なくなった時の回転数、スロットル開度、A/F、噴射時間を記録し、SWBにてセッティングを変更した後に再度加速します。

12)加速が希望の回転数に達した、もしくは駆動力がローラーのイナーシャと釣り合って回転の上昇が止まったら、すばやくスロットルを閉じます。

13)加速中のA/Fを確認します。グラフのA/Fの表示は赤に近ければ濃く、青に近ければ薄い表示となります。

14)データモニタを停止しSWBにて加速を行ったスロットル開度上の点を修正します。例えばA/Fを13にする場合は、加速した時にグラフにプロットされる○が全て緑色となるようにセッティングします。

15)セッティングを行うスロットル開度を変更し10)〜14)を繰り返し、マップ全域が設定したいA/Fとなるようにします。

3.3ログリーダーでセッティングする方法
 走行中のスロットル開度、回転数、A/F等をECUに記録し、ログリーダーで読み出してセッティングを行います。ログリーダーの詳細な使用方法は「ログリーダーソフトウェア取扱説明書」をご覧ください。
実走行を伴うセッティングの際は、専用コースなど安全が確保できる場所で、ヘルメットなどの安全装備を確実に着用して行ってください。

1)エンジンを始動し、暖機します。燃圧が指定の値(標準の場合0.24MPa)に保たれているか確認してください。


2)FIのログスイッチをONにします。トグルスイッチを赤色の印が付けられている方へ倒してください。ログ記録中はECU本体の緑のランプが点滅しますので、走行前に確認してください。

3)走行を行い、マップのセッティングが合っていない部分を探します。マップが不完全な場合は、突然エンジンがストールして転倒する恐れがあるため、初期のセッティングは低速での発進、停止等から行い、徐々に速度を上げて行ってください。アクセル開度は低開度〜高開度、ギアは低いギア〜高いギアと変更していきます。記録可能な時間は最大で約7分半です。

4)走行が終了したら、停車します。この時、エンジンを切っても、走行データはECUに保存されています。再度イグニッションをオンにすれば、ログリーダーで受信することが出来ます(旧FIではイグニッションをオフにしてエンジンを停止するとログが消えてしまいますのでご注意ください)。

5)PCを起動しログリーダーを開きます。

6)PCとECUを接続します。接続後、イグニッションがオンになっていない場合はオンにします。

7)ログリーダーのメイン画面にある受信ボタンを押し、ログを読み出します。

8)ログの受信が完了したら、セッティングが合っていない部分の回転数、アクセル開度、噴射時間、A/Fを確認します。データの確認は、横軸時間表示のグラフ、メイン画面の3Dグラフ、データを3Dグラフ上で時間を追って再生する機能にて行えます。

9)SWBを開き、噴射量を調節して、A/Fが設定したい値となるようにマップを修正します。

10)走行中のA/Fが、設定したい値で安定し、滑らかに走行できるようになるまで、3)〜9)を繰り返します。走行時のログはエンジンを再始動すると消去されます。

4.ポンプのセッティング
 燃圧が変動するとインジェクタの噴射量がばらついて、セッティングが合わなくなってしまいますので、燃圧を安定させる必要があります。しかし、駆動の電流が大きすぎるとポンプが高熱になったり、バッテリーの消費が大きくなったりしてしまいますので、燃料ポンプの駆動は圧力が保てる最低限の状態で使用してください。ポンプの詳細な制御については取扱説明書pp58「ポンプ駆動設定を変更する」をご覧ください。

4.1 PWM駆動
 オルタネータの発電量が十分な場合は全域で使用できます。デューティー比は燃圧を保つことができる、なるべく低い値にすることで電流の消費を抑えられます。パルス駆動に比べ安定した燃圧が得られます。

4.2パルス駆動
 PWM駆動より電流の消費が少ないポンプ駆動方式のため、発電量の少ない小排気量の2輪車などで使用します。駆動周期を変更するとパルス間の時間間隔が変化し、パルス幅を変更すると1つのパルスの発生する時間が変化します。いずれの値も数値を増やすと燃圧が上昇します。パルス駆動方式は燃圧の変動が大きいため、発電に余裕がある範囲でなるべく低い回転数からのPWM駆動への切替えを推奨します。

4.3ポンプの具体的なセッティング方法
1)最初は全域PWMでマップを送信します。エンジンを始動し燃圧を確認します。

2)アイドリングで燃圧が保てるデューティー比を探します。アイドリング回転数のデューティー比を変更しながら、燃圧が保てる一番低いデューティー比に設定します。電流が足りずPWMでの駆動が難しい場合は、アイドリングをパルス駆動に切替えます。パルス駆動への切替えは、切替え回転速度をアイドリング回転数以上にして行います。

3)空ぶかしで回転を上げ、燃圧を確認します。燃圧が保てない回転数があれば、その回転数以上のデューティー比を増やします。燃圧が十分保てている場合は、デューティー比を下げていってなるべく低いデューティー比で燃圧が保てるようにします。パルス駆動からPWMに切り替わったときに電流が足りない場合は、パルス駆動への切替え回転速度を増やして電流の消費を減らしてください。

4)実際に走行して燃圧が変動していないか確認します。燃圧が下がる場合は、燃圧の低下があった回転数のデューティー比を増やします。




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